坂の途中で鳴った
坂は、たぶん200歩くらい。
車庫から桟橋まで、
みんなでマシンを押していった。
エンジンはかけないんだって。
だから人の手で運ぶの。
葵ね、これはもう
自分の仕事だと思ったんだ。
力なら、たぶん
五人でいちばんあるもの。
まこるんが紙を持っていて、
押す人と横につく人を
決めようとしてたんだけど、
葵はもう押し始めてた。
そこまではよかったの。
ぐぅ、って鳴った。
びっくりするくらい大きい音で。
全員が止まった。
マシンも止まった。
ちーちゃんが飴をくれて、
リンリンには笑われて、
まこるんには順番どおりにって言われて、
ルナっぴは何も言わずに
反対側へ手をかけた。
そこからは五人でゆっくり下った。
みんなで速さをそろえると、
重さが半分どころか、
四分の一くらいになるんだね。
ぜんぜん知らなかったよ。
夜は鯖の味噌煮。
さつま芋の甘煮が、しみしみで最高。
坂で鳴ったお腹と、
五人ぶんの手のあと。