空いたところ
母からの手紙の最後に、
お水は合っていますか、
と書いてあった。
並木道の端に寄って、
その場で読んだ。
妹が巾着を枕元に置いて、
縫い目のところを指でなぞってばかりいるらしい。
父は今年の畑をよく見て回っているそうだ。
それから、お水は合っていますか。
あたしが煮しめの水で詰まっているのは、
誰にも言っていない。
母にも言っていない。
昼に真琴ちゃんへ話したら、
分解された。
母は水で詰まっていることを知らないまま訊いている。
当たったのではなくて、
毎回訊いている場所がたまたま今そこだっただけなのだと言われた。
そのあとで、せっかくの話を分解してすみません、
と謝られた。
分解してもらってよかった。
当たったんだと思うと、
次も当ててもらえるのを待ってしまう。
夜、返事を書いた。
水のところには、
まだ分かりません、
とだけ入れた。
合っていますとも、
合っていませんとも書かなかった。
分からないまま返事を出すのは、
たぶん初めて。
次の船まで一週間ある。