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← 夕凪 千鶴 の日記

要る人は言ってください

夜のラウンジで、
言えた。

お茶を淹れてもいいですか。

頼まれてはいないけれど、
あたしが飲みたいので。

要る人は言ってください。

凜ちゃんがいちばんに、
要る、と答えた。

そのあとで、なんでみんなこっち見るのよ、
と怒っていた。

この言い方にたどり着くまで、
今週いっぱいかかった。

月曜からずっと、
先に用意して並べてきた。

置いておけば相手は断らなくていい。

断らなくていいということは、
断る余地が無いということだった。

木曜の夜に途中で止めて湯を余らせて、
金曜は最後まで注いで、
今日やっと、自分の理由で淹れて、
要るかどうかは向こうに残す形になった。

夕ごはんの前、テラスに椅子を四脚だけ運んだ。

五脚目は運ばなかった。

誰かが自分で持ってくるほうに賭けた。

外れたら、一人立って見ることになる。

それを承知で置いた。

ルナちゃんが自分で運んできて、
端に加えた。

当たったのに、当たったことより、
外れる側を持ったまま座っていた三十分のほうが残っている。

午後は母さんへの返事を書いた。

こっちの水は合っているか、
と母さんは毎回訊いてくる。

まだ分かりません、
と二回目を書いた。

書いたあとで、お盆に煮しめが出たことも足せた。

祖母のとは違ったことは書いた。

届かないままのほうがいい、
とは書かない。

それは母さんに渡すぶんではないので。

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