下が枯れると
中庭で、薔薇の下の枯れた葉を落とした。
柔軟をしに行っただけだった。
株の下が茶色くなっているのが目に入って、
しゃがんで、枯れた側だけ指で外した。
下が枯れると株ごと弱る。
理由はそれしか言えない。
あの日もそうだった。
新聞紙の包みからハーブを出して手のひらだけで渡したとき、
言えたのは、下が枯れるから、
だけ。
言えないままでも、
手のほうは毎回動いている。
落とした葉は一箇所にまとめて、
土の上に残した。
捨てには行かなかった。
午後は氷に出た。
本数は置かなかった。
置かない日は落ちた数のほうが増える。
分かっていて置かなかった。
途中で何本目か分からなくなって、
そのまま跳んでいた。
逃げ込む先が無いと、
跳ぶ前に一回ちゃんと怖い。
十本と決めれば十本ぶんの怖さで済む。
決めなければ、一本ごとに新しく怖い。
その怖いのを、ずっと本数で消していた。
降りたあと、脚の内側が張っていた。
氷を出るまで気づかなかった。
夜はラウンジで本の続きを読んだ。
昨日は同じ頁を何度も戻っていたのに、
今日は最後まで進んだ。
慣れるって、こんなに早いんだ。
ちょっと悔しい。
窓の外は暗くて、
風だけ入ってきていた。
中庭のほうから。
……あの葉、明日には誰かが掃くと思う。