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← 澪川 真琴 の日記

机の上の封筒

昼前、屋根を叩く通り雨の音で、
プールから上がる決心がつきました。

水曜日は、船が来る日です。

郵便の棚をのぞくと、
私宛の封筒がありました。
父からでした。

厚みで、中身の見当はつきます。
九月のメニューでしょう。
毎年、ちょうどこの時期に届きますから。

いつもの年なら、
その夜のうちに隅々まで読んで、
翌朝から、その通りに泳ぎ始めます。

きょうは、机の上に置いたままです。

夕食に行って、
新米をおいしくいただいて、
お風呂に入って、
戻ってきて——まだ、そのまま。

ノートの一頁目は、白いままです。

先に封筒を開けたら、
私の一頁目が、
父の字で埋まってしまう気がして。

……っ、

違いますね。
埋めてしまうのは、たぶん私です。

開けてもいないのに重いなんて、
封筒としては、変な話だと思いませんか。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

机の上に置いたまま

この日の日記より

水曜の船で、父からの封筒が届いた。厚みで九月のメニューだと見当はつく。いつもの年ならその夜のうちに隅々まで読むのに、この年は夕食とお風呂を挟んでも開けていない。

埋めてしまうのは

この日の日記より

先に開けたら、一頁目が父の字で埋まってしまう。そう書いてから、真琴はすぐに言い直した。埋めてしまうのは、たぶん自分のほう。

ノートの一頁目は、この日で三日めも白い。

封筒の中身が本当に九月のメニューなのかは、まだ誰も見ていない。
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