一秒だけの島
走り終わったあとの耳の奥が、
まだじんじんしてた。
きょうは100mの計測を4本。
快晴で、トラックがあったかくて、
スパイクの音が高く鳴る日だった。
で、そのあとの話。
クールダウンで外周路を歩いてたら、
とつぜん、蝉がぜんぶ止まったの。
ぴた、って。
一秒か、二秒。
島から音がなくなって、
波だけが残った。
葵、思わず立ち止まっちゃった。
すぐにまた鳴き始めたんだけど、
その一秒のあいだ、
夏が「おしまいの練習」をしてた気がする。
本番はまだ先でいいからね、って
ちょっとだけ思いました。
歩き出したら、お腹が鳴った。
うん、こっちはいつも本番。
あしたもいっぱい走ろっと。