二週目の一日目
廊下に出たら、食堂のほうから
まな板の音が聞こえました。
まだ六時前です。
私より早く起きている人が
この建物にいる、というだけで、
背筋が伸びます。
脈は52でした。
先週と変わりません。
屋内プールで50mを18本。
一本ごとの休みは、
自分で決めた秒数どおりに取りました。
ノートの二週目、その一日目。
昼、ラウンジを通ったとき、
丸印の下に、名前が
書き足されていました。
ルナ、と。
見た瞬間に、私は
ほっとしたのです。
自分ではなかった、と。
そう思った自分に気づいて、
ペンを持つ手が止まりました。
安心する理由が、
まだうまく説明できません。
……っ。
夕方、二週目の一日目の欄には、
本数と、休みの秒数と、脈だけを
書き入れました。
昼に思ったことは書きません。
そう決めました。