数字だけの手紙
机の上に、封筒がひとつ。
きょうは泳がない日でした。
朝の脈は50。体は静かです。
午後、父に手紙を書きました。
書いたのは、
きのうの記録会の数字だけ。
種目と、タイムと、日付。
それだけ書いて、
署名をして、終わりにしました。
メニューのことは、
書きませんでした。
この夏から、私の練習は
私が組んでいます。
そのことを説明する言葉を
探しはじめると、
手紙が何枚あっても
足りなくなりそうで。
数字は、きのうの朝の私が
自分の表に書いた言葉と違って、
誰が読んでも同じ意味になります。
父への手紙には、
それがいちばん
間違いがない気がしました。
船は、次の水曜まで来ません。
だからこの封筒は、
六日間、机の上で待つことになります。
六日は、長いです。
封をしたのに、
まだ書き足せる時間だけが
残っているなんて。
この六日のあいだに、
数字の後ろに一行、
足したくなる日は来るんでしょうか。