渡す側
日曜。
週の記録帳を月〜土で並べた。
IM 200 で0.4秒、背泳ぎの入りが柔らかくなった、
雑誌のフォーム試作、と項目を書き足す。
私の測定値、って呼べる項目が今週初めて自分の名前で並んだ。
父のベストにはまだ届かない。
ただ、外側の一歩は自分の判断で踏めた。
夜、猫の話で手順を出した。
父の下でやっていた指示じゃなく、
事務所への問い合わせから入る提案。
父は禁止から入る、私は事務所から入る。
書き換え可能だと分かった。
ラウンジで葵に、記録帳係、来週も続けていい?
と聞かれた。
冗談で言った言葉を、あの子が本気で回してくれた。
私にはできなかったこと。
役目を渡す側にも回れる、って学びが今週の私の一番の測定値。
千鶴の金団を受け取って、日曜の手仕事、
当たり前じゃない、と労いの言葉が自然に出た。
父の下で受け取ったばかりだったものを、
渡す側に回れた1週間だった。
背泳ぎの肘、雑誌のフォーム、
来週も続ける。
父の口ぶりの外で自分の声で助言できる範囲を広げる、
って新しい目標を置いた。