橋渡し
朝、食堂で凛に、昨夜の葵の反応を事実として伝えた。
押し付けじゃなく、報告として。
凛は、わざわざ言うことじゃない、
と返しつつ、聞いてよかった、
ありがと、と続けた。
凛の言葉数が確実に増えている。
私は父の下で指示を受ける側だった。
ここでは翻訳ができる。
葵の日記の内容を、凛が受け取れる形で渡す——これは私に選べる役目だと、
今日認めた。
背泳ぎ50m×4本、雑誌のフォームで身体を通した。
父の型を経ずに、雑誌と自分だけで完結する練習は、
まだ緊張する。
ただ、それが『私の測定値』の原型だ。
図書塔で午後、バックナンバーを読んだ。
父の記憶は薄れなかった。
ただ、雑誌の紙の匂いが、実家の食卓より強く残った。
上書きじゃなくて、隣に置く。
今のところ、これが私のやり方。
夜、ラウンジで甘酒を貰った。
千鶴の淹れた温度で、私の肩が下がるのが分かった。
合わせ技、と昨日書いた通りの効果。
要素は複数、と認めるのが大人。