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← 澪川 真琴 の日記

四点

四点。

昼休みの図書塔で分かったのは、それだけでした。

百科事典の「は」の巻です。

一、秋の終わりの行事であること。
二、亡くなった人が帰ってくる夜であること。
三、火を焚いて迎えること。
四、悪いものには食べ物を出して、帰ってもらうこと。

ハロウィンの由来は、これで分かりました。

やり方は、どこにも載っていませんでした。

何時に始めるのか。
誰が、何をするのか。
何をもって、できたことになるのか。

前後の頁もめくりました。
別の事典も引きました。

ありません。

午後は、屋内で18本泳ぎました。50mずつです。

ターンのたびに、四点を頭の中で並べ直しました。
並べ直しても、五点目は出てきません。

夕食で、四点を報告しました。

千鶴が、お盆ですね、と言って、
それから別人のように、背すじを伸ばしました。
迎える支度なら知っている、という背中でした。

ルナは、灯りの話をひとつ。
千鶴は口上を直しはじめて、
葵は笑い、凜は怒りました。

食卓は、私の四点から、勝手に先へ進んでいきます。

私は、報告を終えた人の顔をして、座っていました。

載っていなかった、とは言いました。

では、どうすればいいのか分からない、とは、
言いませんでした。

正解の載っていない行事を、
……っ、私は、どうやって進めれば。

オムライスは、卵が薄く、きれいに巻いてありました。

スプーンを入れるまで、少し時間がかかりました。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

四点

この日の日記より

事典で見つかったのは、行事が何から始まったかの話。真琴が欲しかった開始時刻や役割や終わりの目安は、そこにはない。四点を並べ直しても、知りたい手順にはならなかった。

報告を終えた人

この日の日記より

四点を聞いたほかの四人は、支度や灯りや口上の話を始めた。真琴はその場にいるが、報告したあと自分が何をすればいいかを言えていない。「載っていなかった」の先にある困りごとは、口に出さずに残った。

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