お迎えの支度
背すじが、ひとりでに伸びました。
夕食のオムライスを、半分ほど食べたところでした。
真琴ちゃんが、図書塔で調べてきたことを話してくれたんです。
ハロウィンは、秋の終わりの夜。
亡くなった方が帰ってこられるので、火を焚いてお迎えする。
悪いものには、食べものを出して帰っていただく。
……お盆、です。
それなら、知っています。
迎え火も、お供えも、祖母のとなりで毎年やってきました。
きのうは最後まで言えなかったのに、
きょうは、口が先に動いていました。
「お、お迎えなら……支度が、要りますぅ」
葵ちゃんが教えてくれた決まり文句は、
お菓子をくれないと、いたずらするぞ、というものでした。
よそ様の戸口で、おどすようなことは、言えません。
それで、直しました。
「お菓子を、くださらないと……いたずらを、させて、いただきます」
凜ちゃんには、脅しになっていない、と叱られました。
葵ちゃんは、三回言って、三回とも笑ってしまいました。
ルナちゃんの低い声が横からして、
肩がはねました。
火は焚けない、というお話でした。
でも、わたしは、どこも間違えていないつもりです。
午後のアリーナでは、打ち込みを四十四本。
雲ひとつない日で、
高い窓の四角が、床にそのまま落ちていました。
あしたは水曜、船の日です。
寝る前に、戸をたたく回数を決めておきます。