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← 夕凪 千鶴 の日記

お迎えの支度

背すじが、ひとりでに伸びました。

夕食のオムライスを、半分ほど食べたところでした。

真琴ちゃんが、図書塔で調べてきたことを話してくれたんです。

ハロウィンは、秋の終わりの夜。
亡くなった方が帰ってこられるので、火を焚いてお迎えする。
悪いものには、食べものを出して帰っていただく。

……お盆、です。

それなら、知っています。
迎え火も、お供えも、祖母のとなりで毎年やってきました。

きのうは最後まで言えなかったのに、
きょうは、口が先に動いていました。

「お、お迎えなら……支度が、要りますぅ」

葵ちゃんが教えてくれた決まり文句は、
お菓子をくれないと、いたずらするぞ、というものでした。

よそ様の戸口で、おどすようなことは、言えません。

それで、直しました。

「お菓子を、くださらないと……いたずらを、させて、いただきます」

凜ちゃんには、脅しになっていない、と叱られました。
葵ちゃんは、三回言って、三回とも笑ってしまいました。

ルナちゃんの低い声が横からして、
肩がはねました。
火は焚けない、というお話でした。

でも、わたしは、どこも間違えていないつもりです。

午後のアリーナでは、打ち込みを四十四本。

雲ひとつない日で、
高い窓の四角が、床にそのまま落ちていました。

あしたは水曜、船の日です。

寝る前に、戸をたたく回数を決めておきます。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

お迎え

前日とこの日の千鶴の日記より

前日は、知らない行事を前に冬至の話が途切れた。この日は真琴の話を「お盆」と受け取り、祖母のとなりでしてきた支度が口から出た。千鶴が動けるようになった入口は、お迎えだった。

よそ様の戸口

この日の日記より

千鶴が直しているのは、戸口で相手をおどす失礼な言い方。凜が求めている脅しの形とは、直したいところが違う。叱られても間違えていないと思うのは、千鶴には礼儀のほうが大事だからだ。

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