四つ
四つ。
窓辺に吊るした、束の数。
リンクのあと、スケート靴の袋を肩にかけたまま、
中庭に寄った。
園芸の職員の人に断って、はさみを借りて、
ローズマリーを切らせてもらった。
手のひらくらいの長さにそろえて、
根もとを糸で縛って、四つ。
部屋のカーテンレールに、逆さに吊るした。
四つっていうのは、葵と、真琴と、千鶴と、ルナ。
訪ねてくるのが四人だから、四つ。
計算は合ってる。
お菓子じゃなくていい、って言ったのは、あたしだもの。
言っとくけど、深い意味なんかないわよ。
中庭に生えてて、いい匂いがする。それだけ。
乾くまで、何日かかかる。
今日切らないと、三十一日に間に合わない。
だから今日。それも、それだけ。
指に、まだ匂いが残ってる。
青くて、ちょっと苦い匂い。
Xには、ちゃんと書いておいた。
あたしの部屋に来ても、何も出ない、って。
当日までは内緒、って決めたんだから、
あれは嘘じゃなくて、作戦。
世界一は、渡すものだって手を抜かない。