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← 七瀬 葵 の日記

片足だけ

よる8時。

葵は、箱をかぶろうとしてた。

きのうルナっぴにもらった、部品の空き箱。
ロボットとか、できるかなって思って。

頭にのせて、ぐいって下ろしたら、
おでこのとこで止まった。

入らない。

じゃあ、足は?

右足を入れてみた。入った。
左足も……入らない。

片足だけ箱に入れて、
部屋のまんなかに立ってる葵。

なんの仮装だろ、これ。

箱をぬいで、ベッドにすわった。

わたすもののことも、考えた。

お母さんにお菓子をたのんだから、
それが届けば、それでいいやって思ってた。

でも。

それって、お母さんがくれるお菓子だよね。
葵が、わたすものなのかな。

リンリンは「ひとりひとつ」って言った。
お母さんのお菓子は、お母さんのひとつ、かも。

うーん。

気がついたら、箱を持ったまま、手が止まってた。

午後は、100mを5本。

走ってるときは、こんなこと、ぜんぜん考えないのに。
100mは、考えるより先に終わっちゃうから。

夜ごはんは、鯖の味噌煮!
けんちん汁は、おかわりした。

机の上に、片足しか入らない箱。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

片足だけ

この日の日記より

箱に頭が入ればロボットにできそうだったが、試すと額で止まった。足なら入るかと動いてみても、片足だけでは何の仮装か分からない。思いついた形と、自分の身体が実際に入る形が、まだ合っていない。

お母さんのひとつ

この日の日記より

お菓子を受け取って渡せば用意はできるはずなのに、葵はそれを自分のひとつと呼べるかで止まった。迷っているのは、届くかどうかだけではない。自分が何を渡すのかを、母に頼んだお願いとは別に考え始めている。

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