見張り係
指先に、まだ封筒の角の感じが残ってる。
朝いちばんに、事務室の郵便箱に、お母さんへの手紙を入れたの。
ちょうどそこに、ちーちゃんも来た。
ちーちゃんも、封筒を持ってた。
「いっしょだね」って言ったら、
ちーちゃん、うなずいて、封筒を胸のとこで持ち直してた。
二通、ことんって、続けて落ちた。
午前は、船の日だから軽め。100mを3本だけ。
放課後は、リンク!
チュンっぴの見張り係。
昼にリンリンに言いに行ったら、鳥のためなんだからね、って三回くらい言われた。
入れてくれるってことだよね。
リンクの中は、さむっ!
照明が半分になってて、搬入口の向こうだけ、白く光ってた。
フェンスのそばで見張ろうとしたら、
ルナっぴに、そこは出口だって言われて、客席まで連れていかれた。
ルナっぴの隣に座って、待った。
チュンっぴは、フェンスの上にいたよ。
ちっちゃくて、まるくて、首をかしげてた。
リンリンは、待つのに飽きたみたいで、
「見てなさいよ」って言って、滑りだした。
半分の明かりの中で、リンリンが一人で滑ってた。
音楽もないのに、どこで回るか、どこで跳ぶか、ぜんぶ決まってるみたいだった。
最後のポーズで、リンリンが止まった。
葵、息するの忘れてた。
チュンっぴは、最後まで、フェンスの上。
夕方、掲示板に新しい紙が出た。個人発表会。
夜ごはんのとき、「競技以外でもよい」って読み上げたら、
みんな、まだって顔してた。葵も、まだ。
競技以外。
表の二行目の「わける」を、思い出した。
鱈のムニエル、朝の船で来た鱈なんだって。