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← 夕凪 千鶴 の日記

数え歌

ぽすん。

三つめのお手玉が、床に落ちた音です。

午後のサーブは、三十本で切り上げました。
晴れて、アリーナの窓から、まっすぐ光が入っていました。
きょうは、それくらいがちょうどいい気がしたんです。

部屋に戻って、きのう縫った三つのお手玉を出しました。

ふたつなら、投げられます。
小さいころ、祖母に教わりました。

三つは、ひさしぶりです。

祖母の数え歌を、小さな声で歌いながら投げました。
最初の一節の、終わりのところで、ひとつ落としました。

拾って、もう一度。
また、同じところで。

祖母は、あそこで、少し間をあけて歌っていた気がします。
わたしは、急いでしまうみたいです。

三回目は、わざと、ゆっくり歌いました。
落としませんでした。
最初の一節だけですけど。

晩ごはんは、鶏の水炊きでした。
白菜の浅漬けが、祖母の漬けたのに少し似ていました。

机の上に戻した、三つのお手玉。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

数え歌

この日と前日の日記より

きのう縫った三つのお手玉を、祖母の数え歌を小さな声で歌いながら投げた。最初の一節の終わりのところでひとつ落とし、もう一度やっても同じところで落ちた。祖母はあそこで少し間をあけて歌っていた気がする、わたしは急いでしまうみたい、と千鶴は書く。

わざと、ゆっくり

この日の日記より

三回目は、わざとゆっくり歌って、落とさなかった。最初の一節だけ。ふたつなら小さいころ祖母に教わったが、三つはひさしぶりだった。

午後のサーブは三十本で切り上げて、それくらいがちょうどいい気がした。

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