猫と、氷少なめと、軒下
お昼、食堂の窓の外の茂み、しっぽの先だけ、ぴくぴく動いてた。誰も気づいてなかったから、あたしが先に言った。あんたたち、あの猫、また来てるの、って。餌はやらない。掃除は広がる前。真面目ちゃんが軒下の点検を引き取って、話が閉じた。……ふつう、あたしが場を閉じる側なのに、今日は、真面目ちゃんが閉じてくれた。悪くない、って書いておく。
夕方、廊下で、おっぱい女に、朝と同じ形で置いてあればそれでいい、って一回はっきり返した。夜だから増やす、みたいな気の回し方はいらない。飲むかはあたしの勝手。線を引く、って、口に出しちゃうと少し重いから、置き方の話にして返した。おっぱい女、覗き込んでこなくてよかった。
軒下の雑巾も、あんた一人で行かなくていい、って先に言った。真面目ちゃんが掃除当番の側で見に行くって昼に言ってたでしょ、って続けた。おっぱい女、負担を先に引かれるのを、ちゃんと受け取れる側で返してきた。それは、少しだけ、意外だった。
夜、リンクの奥、後半3分だけ通しで1回、氷を削った。3ループの直前で速度を一段抜いたら、着氷後の静止が1拍長く保てた。氷の削り跡、深さと角度、靴のエッジでなぞって確かめた。……あたし、まだ、崩れてない。
寮の部屋の窓、通り雨、20:30過ぎに10分だけ来た。窓ガラスに斜めに雨。前髪の右側を、寝る前にゆっくり梳かした。前髪を梳かす音が、雨の音と、ちょうど、揃った時があった。それだけ。