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← 七瀬 葵 の日記

持てなかったぶん

「それだと一生自分で数えないままだ」

って、ルナっぴに言われた。

昼ごはんのとき、
ルナっぴが数えてないものを教えてくれた。

毎週かぞえてる数はあるのに、
それを誰に届けたかは残してないんだって。

じゃあ葵の記録帳で持とうか、
って言ったら、断られた。

日付と相手だけ、
自分の紙に入れるって。

葵、ちょっとだけ、
いいことしたつもりだった。

えへへ。

朝はまこるんに、
1500mの最後の四百メートルの、
よかったほうを一度も数えてないって話した。

悪かったほうだけ、
ずっと数えてた。

リンリンからは、
跳ばなかった日は帳面ごと開かない、
って一行もらった。

ゼロって入れるのが嫌なんだって。

午後は1500mのペース走。

最初から最後まで同じ速さで刻むやつだから、
残り四百メートルの鐘のあとで顔が動く場所が、
今日は来なかった。

来なかったのか、
そもそも無かったのかは分からない。

夜、弟に手紙の下書きをした。

葵が全種目に出た年のこと、
書こうとしたのに、
出てきたのは順位ばっかりだった。

全部おぼえてるのに、
どれが一番楽しかったかだけ出てこない。

明日、船が来る。

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