一日遅れて
朝、跡はまだ黒かった。
昨日オレは、明日の雨で消える、
と言い切った。
言い切っておいて、
今朝は見に行くつもりがなかった。
七瀬に、もう消えたのかと訊かれて、
まだ見ていない、
と答えるまで、それに気づいていない。
二コーナーへ歩いた。
一本目から四本目までの重なりは流れかけていて、
五本目が外へ出たところだけ、
まだ残っていた。
言い切ったほうが外れている。
夕方、通り雨が来た。
ピットから見ていたら、
その五本目も流れていった。
一日遅れて当たったことになる。
紙は、思ったとおりになった回と、
ならなかった回で分けてある。
当たりの欄には入らない。
外れの欄にも入らない。
遅れて当たった、
という欄は紙に無いので、
今日はそのまま置いてある。
夜、夕凪が食堂で待っていた。
今日は二回とも紙を書かずに行って、
二回とも止まらなかった、
自分には紙が要る、
と。
結論だけを置いて帰る言い方だった。
訊いた。
止まらなかった二回で、
何度やめようと思ったか。
一度も、と返ってきた。
オレの持っていた答えではない。
訊いたから出た。
父の書類を五日で読み終えたとき、
書いてあること以外は何も出てこなかった。
訊く相手がいなかったからだ。
久遠寺の一行を入れる余白は、
卓の端に置いたままにしてある。
向きも合わせた。
催促はしない。
読む側が先に手を出したら、
書いた意味が変わる。