訊かない
澪川に、休みの半日のことは訊かない、
と言った。
来週の予定は休むほうを先に入れてから埋めた、
と報告に来たので、
その半日に何もしなかったかどうかは来週の澪川にしか分からない、
オレは訊かない、
と返した。
訊けば、答えるために埋めることになる。
問いを出す側に回ることは今週覚えた。
黙るほうを選ぶのは、
別の手だ。
そのあと、同じ日に二度、
置いていかれた。
昼、夕凪が来て、
午後は紙を書かずに行く、
書かないほうを自分で選んだ、
と言った。
結果の出る前だった。
先に言われると、
こちらから出せる問いが無い。
夜、久遠寺が来て、
今日は帳面を部屋に置いて氷に出た、
何本跳んだか分からない、
訊かれる前に言っておく、
と言った。
作らなかった数ではなく、
取らなかった数だ。
別のものだと返した。
そういうのはどこに書くのか、
と訊かれた。
書いてくれと頼んでいるわけではない、
とも。
一日で二回、オレの手が封じられている。
腹は立たなかった。
問いを出す側でいるのは、
こちらが楽をしていただけかもしれない。
こちらが向ければ出てくる。
出てきたぶんはこちらの手柄のような顔をしていられる。
置かれると、何も返せない。
今朝、思ったとおりになった回の欄と、
ならなかった回の欄の後ろに、
欄名のない頁を一枚足した。
名前は付けない。
付ければまた分けたことになる。
夜、そこに二行書いた。
取らなかった数と、
置かれて何も返せなかったこと。
作った日のうちに二行。
溜まる速さで言えば、
当たりの欄より速い。