やめる才能
あのね、先に言っとくけど、
きょうの7本は「たった7本」じゃないから。
きのう、8本跳んだのよ。
その次の日にどうするかで、
スケーターの頭の良さが出るの。
跳びたい気持ちは、あったわ。
氷に乗ったら脚が軽くて、
「きょうもいける」って思ったもの。
でもね、そういう日ほど危ないの。
「いける」は、
ちゃんと数えてないときの言葉だから。
だから7本で切り上げて、
残りの時間はスピンにまわした。
えらい。あたし、えらい。
……誰もほめてくれないから、
自分でほめておくの。
さ、お風呂。