箱に戻る浴衣
窓の外、通り雨のあとの中庭で、
木の葉っぱが
ぴかぴかに洗われてた。
土曜の午後は、陸トレ。
体幹と、着地の筋肉と、
空中の姿勢を
床の上で確認する日。
リンクの外の練習は地味だけど、
氷の上のたった三秒のためにあるの。
夕方、部屋の片づけをしていて、
掛けっぱなしだった浴衣を
やっとたたんだ。
月曜の夜の、あの浴衣。
たたみながら、ちょっとだけ
花火の音を思い出した。
箱のふたを閉めて、
クローゼットの上の段へ。
……それだけ。
別に、しんみりなんて
してないんだから。
夏はちゃんと終わらせて、
シーズンに顔を向ける。
それが九月のスケーターの
正しい衣替えなの。
夜はクリームシチューだった。
あたしはバターロールを
ひとつだけ添える派。
とろっとしたのが
からだをあっためてくれるから、
陸トレの日のシチューは
ちょっと反則よね。