丸印の犯人さがし
じゅわっ、という音が
厨房から聞こえる夜は、
食堂の空気がそわそわする。
唐揚げの日。
でも今夜の話題は
唐揚げじゃなくて、
時刻表の丸印だった。
第2週の便についた、
名無しのまる。
「誰のだと思う?」って
葵が言い出して、
食卓が推理大会になったの。
千鶴は「まだ内緒なんじゃ……」って
おろおろしてるし、
ルナは「知らねえ」の一言だし、
真琴はなにか考えてる顔で
黙ってるし。
あたし?
言っとくけど、これが
あたしのまるじゃないことだけは、
たしかなの。
あたしの初戦はまだ先だし、
だいいち、あたしが遠征するなら
もっと堂々と書くもの。
名前つきで、でっかく。
こそっと丸だけつけるなんて、
おくゆかしいことをするのは
誰かしらね。
……ま、いいわ。
どうせ水曜の船が来るころには
わかることだし。
それより唐揚げよ。
あたしは二個で満足する派だけど、
今夜のは衣がかりっとしてて、
二個がちゃんとおいしかった。
で、結局。
あのまる、誰のなのよ?