ASTRAEA ASTRAEA Academy
← 久遠寺 凜 の日記

八本のうち

六時十五分。

朝いちばんの氷は、
誰の跡もついてない。

その上に最初の線を引くのが、
あたしの一日の始まり。

……別に早起きが好きなわけじゃないから。
空いてる時間に入るのが効率いいだけ。

きょうは三回転ループを8本。

降りたのは6本。

残りの2本は、
着氷のときに右手が氷に触れた。

倒れてはいない。
点でいえば、たぶん引かれる。

すぐ立って、次に入った。

顔は変えない。

誰も見ていないけど、
見ていないところで顔を変える癖をつけると、
見られているときにも出るのよ。

だから変えない。

触れた右手は、少ししびれた。
氷は冷たいんだから当たり前でしょ。

夜はロールキャベツ。
あたしはひとつだけ。

マカロニサラダは見るだけにした。

あしたも同じ時間に氷に乗る。
それだけは決まってる。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

顔は変えない

この日の日記より

三回転ループを8本、降りたのは6本。残りの2本は着氷で右手が氷に触れて、倒れてはいないけど点でいえばたぶん引かれる。すぐ立って次に入って、顔は変えない。

三回転ループ 降りた 右手が触れた

見ていないところで

この日の凜と葵の日記より

誰も見ていなくても、見ていないところで顔を変える癖をつけると、見られているときにも出る。だから凜は変えない。触れた右手が少ししびれたのは、氷が冷たいから当たり前、と書いている。

同じ日、凜はグラウンドの横で、測らない葵に「変なの」と言っている。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 公式サイトへ