一番とトリ
1番。
刷り上がった次第の、
いちばん上に、あたしの名前。
真琴が作った、
あしたの「前期振り返り会」の次第よ。
一人五分ずつ、順番にしゃべるんですって。
それで、あたしが1番。
一番って響きは、嫌いじゃない。
でもね、会の一番と、
会のトリは、ぜんぜん別物なの。
最後に出てきて、
全部さらっていく人のことを、
トリって言うのよ。
だから言ってあげたの。
「あたしがトリ。書き直して」
そしたら真琴、
眼鏡の位置を直しながら、
「却下です。五十音順なので」
……五十音順。
く、な、み、ゆ、る。
久遠寺の「く」が、
こんなところで裏目に出るなんて。
世界一のスケーターを
前座にする会なんて、前代未聞よ。
まあいいわ。
一番手で、あとの四人が
しゃべりにくくなるくらいの五分に
してやればいいだけだし。
夕食の筑前煮は、
れんこんをひとつだけもらった。
れんこんの穴から真琴をのぞいたら、
めちゃくちゃ嫌そうな顔をされた。