閉会の時刻
汽笛が一回、港のほうから聞こえました。
朝の七時すぎ。
水曜日の船です。
その便に、父への手紙を乗せました。
書いたのは、数字だけです。
記録会の2分19秒87。
それから、朝の脈。
挨拶の一行のほかには、
説明も、感想も書いていません。
数字だけのほうが、
父には伝わりやすい気がしたので。
郵便の棚の前で、千鶴と会いました。
千鶴の封筒は、私のより
ずいぶん厚みがありました。
前期は、きょうで終わりです。
夜はラウンジに集まって、
予定どおり、振り返り会を開きました。
予定どおりだったのは、
開いたところまでです。
次第の一行目も、二行目も、
その下の行も、
書いたとおりには進みませんでした。
原因の一つは、
夕食の席で葵が読みあげた、
後期の予定表の一行です。
十一月の、個人発表会。
一人五分の持ち時間は、
いつのまにか、誰の時間でもなくなって、
閉会は、二十一時の予定が、
二十二時になりました。
次第は、ラウンジの机に置いたまま、
部屋に戻ってきてしまいました。