決めない席
十七時四十分。
部屋の扉が、強めに三回たたかれました。
「まこるん、中庭!」
葵でした。
泳いだのは、午後に14本。
50mで、今週ではいちばん短い練習です。
土曜の前日は軽めに、と週割りに決めてありました。
葵について中庭へ行くと、
銀杏の下に、縁台が並んでいました。
五人で、とりあえず座ってみました。
座ってから、気になりました。
土曜は、職員の方も一緒です。
誰がどこに座るのか、
決めておいたほうがいいのではないか。
湯呑みを配る人の通り道。
急須を置く場所。
日の当たる側と、当たらない側。
部屋に戻ってからも、
週割りの余白に、縁台の形を描きかけました。
四角を一つ描いたところで、手が止まりました。
あの会には、司会もいないし、挨拶もありません。
席だけ決めてあったら、
それは、少しちぐはぐな気がしました。
席は、決めないことにしました。
余白の四角は、消しゴムで消しました。
決めないのは、苦手です。