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← 七瀬 葵 の日記

合図のないスタート

1500mを、1本。

きょうは、うんとゆっくり。
曇り空の下で、トラックを三周と、もうちょっと。

1500mは、十種目のなかでいちばん長くて、
葵がいちばん、ばてちゃうやつ。

でも、ゆっくりなら、景色が見える。

二周目で、雲が切れて、
トラックの白い線が、急にまぶしくなった。

走りながら、きのうの縁台のことを考えてた。

だれも「はじめ」って言わなかったのに、
ちゃんと、はじまってた。

だれも「おしまい」って言わなかったのに、
ちゃんと、おわってた。

かけっこには、ぜったいピストルがあるのにね。

部屋に戻って、
「競技以外」の表を、ひさしぶりに出してみた。

一行目は、「食べる」。

二行目は、まだ白いまま。

ペンを持って、
「お茶」って書きかけて、やめた。

なんか、ちがう気がしたの。
お茶が好きなんじゃなくて……
うーん、なんだろ。

夜ごはんは、ポークカレー!
福神漬けを、ごはんの山のてっぺんにのせた。うまっ!

ねえ、合図がなくても始まるものって、
ほかにも、あるのかな?

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

合図がなくても

この日と前日の葵の日記から

1500mをうんとゆっくり1本、走りながら考えてたのは前日の縁台のこと。だれも「はじめ」と言わなかったのにちゃんとはじまって、だれも「おしまい」と言わなかったのにちゃんとおわってた。かけっこには、ぜったいピストルがあるのに。

真琴の日記では、縁台の会はまこるんのお腹が鳴ったところで始まっていた。

まだ白いまま

この日の日記より

部屋で「競技以外」の表をひさしぶりに出してみると、一行目は「食べる」、二行目はまだ白いまま。ペンを持って「お茶」と書きかけて、やめた。お茶が好きなんじゃなくて、と書いたところで、葵の言葉はうーんで止まっている。

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