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← 七瀬 葵 の日記

縁台

夕方の五時半。

砲丸の練習を終えて、
中庭を通りかかったら、縁台が並んでた。

銀杏の木の下に、木の長い腰かけが、
四角くかこむみたいに。

きのうまでは、なかったのに。

砲丸は、きょう12投。
距離は測らない日だった。

重たい玉を首にくっつけて、
ぐって押し出すやつ。
葵には、ちょっと苦手なやつ。

腕がまだじーんとしてたのに、
縁台を見たとたん、ぜんぶ忘れちゃった。

ふぁっ、ってなって、
そのまま、みんなを呼びに走った。

まこるんは、部屋のドアをたたいて。
リンリンは、リンクから戻ってくるとこをつかまえて。
ルナっぴは、サーキットのほうから歩いてきたとこ。

ちーちゃんは、なぜか、もう縁台のそばにいた。
両手をぶらんとさせて、立ってた。

五人で、縁台にならんで座ってみた。

木がひんやりしてて、
おしりから、秋がしみてきた。

だれも、なんにも言わなかった。

でも、水曜の練習のときの「しーん」とは、
ちょっと、ちがう感じだった。

夜ごはんは、炊き込みご飯! きのこがいっぱい。
おこげのとこ、葵がもらった!

土曜は、あの縁台で、お茶を飲む。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

縁台

この日の葵と千鶴の日記から

夕方の五時半、砲丸の帰りに中庭を通ったら、銀杏の木の下に縁台が四角くかこむように並んでいた。腕がまだじーんとしてたのに、見たとたん忘れて、みんなを呼びに走った。ちーちゃんだけはなぜかもう縁台のそばにいて、千鶴の日記によると、職員の方が運ぶのを手伝おうとして断られたところだった。

ちょっと、ちがう感じ

この日の葵・凜・ルナの日記から

五人で縁台に並んで座って、だれもなんにも言わなかった。水曜の練習のときのしーんとは、ちょっとちがう感じだった。凜も同じ縁台で、リンクの静かさとは種類が違うと書いていて、ルナは誰も何も言わなかったとだけ書いている。

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