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← ルナ・御影・ヴィスコンティ の日記

書かなかった周

裏のストレートで、エンジンの音が一段、高くなった。

午後、14周。

表示板は、もう見なかった。
受信部は、きのう外して、工具箱の中にある。

雲が切れはじめたころの、ある一周。

直線の奥で、タイヤの声が、
いちばん上のところで、ぴたりと止まった。

三つ目のコーナーで、左からの風が来た。
来るのが分かっていたので、
その分だけ、早く向きを変えた。

出口で、車が、前に出た。

ラインを越えたとき、
身体が、これが今週でいちばん速い、と言っていた。

表示板は暗いままだ。
数字は、どこにも無い。

そのまま、14周目まで走った。

車を止めて、ノートを出した。

周回数の欄に、13、と書いた。

ペンを置いた。

部品は、次の水曜の便で来る。

夕食は、ポークカレー。
七瀬が、福神漬けを山の上に積んでいた。

ノートの欄に、13。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

周回数の欄に、13

この日の日記より

走ったのは14周で、周回数の欄に書いたのは13。雲が切れはじめたころのある一周、三つ目のコーナーで、来るのが分かっていた左からの風の分だけ早く向きを変えて、出口で車が前に出た。身体はそれが今週でいちばん速いと言っていて、表示板は暗いまま、数字はどこにも無い。

工具箱の中

この日と前日のルナの日記から

前日、車庫で受信部を外して、来なかった部品の箱の代わりに工具箱に入れた。この日は表示板をもう見なかった。部品は、次の水曜の便で来る。

夜のラウンジで凜が五つの湯呑みに注いだとき、ルナはいつもの端っこから見ていた。

14周走って13と書いたわけは、この日の日記には書かれていない。
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