ASTRAEA ASTRAEA Academy
← ルナ・御影・ヴィスコンティ の日記

灯りの場所

スプーンが皿に当たる音が、五つ、ばらばらに鳴っていた。

夕食は、オムライスだった。

澪川が、図書塔で調べたことを報告した。

ハロウィンというのは、秋の終わりに、死んだ人間が帰ってくる夜。
火を焚いて迎える。
悪いものには、食い物を出して帰らせる。

夕凪が、盆だ、と言った。
それから急に、背中がまっすぐになった。

オレが口を開いたのは、一度だけだ。

「寮で火は焚けない」

それから、もう一つ。

「灯りなら、車庫にある」

車庫の棚に、作業灯がある。
夜、マシンの下を見るための灯りだ。

貸す、とは言っていない。
あるものを、ある、と言っただけだ。

そのあと夕凪は、脅し文句を敬語に直しはじめた。
七瀬が三回言わされて、三回笑った。
久遠寺は怒っていた。

午後は、16周。計時なし。

快晴で、路面は乾ききっていた。
タイヤの鳴く音が、きのうより少し高かった。

計時器の部品は、あしたの便で来る。

ところで。

オレは、なぜ、灯りの場所を言ったんだ?

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

作業灯

この日の日記より

寮では火を焚けないと止めたあと、代わりになる灯りの場所まで口にした。作業灯は、もともとマシンの下を見るためのもの。貸す約束はしていないが、話は車庫にある具体的な物へ進んだ。

なぜ

前日とこの日のルナの日記より

前日は「どうでもいい」と答えたあと、席を立たなかった。この日は、自分から灯りの場所を言ったことが引っかかっている。話の場に残るだけでなく、口も動いていた。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 トップへ 学園公式サイトへ