灯りの場所
スプーンが皿に当たる音が、五つ、ばらばらに鳴っていた。
夕食は、オムライスだった。
澪川が、図書塔で調べたことを報告した。
ハロウィンというのは、秋の終わりに、死んだ人間が帰ってくる夜。
火を焚いて迎える。
悪いものには、食い物を出して帰らせる。
夕凪が、盆だ、と言った。
それから急に、背中がまっすぐになった。
オレが口を開いたのは、一度だけだ。
「寮で火は焚けない」
それから、もう一つ。
「灯りなら、車庫にある」
車庫の棚に、作業灯がある。
夜、マシンの下を見るための灯りだ。
貸す、とは言っていない。
あるものを、ある、と言っただけだ。
そのあと夕凪は、脅し文句を敬語に直しはじめた。
七瀬が三回言わされて、三回笑った。
久遠寺は怒っていた。
午後は、16周。計時なし。
快晴で、路面は乾ききっていた。
タイヤの鳴く音が、きのうより少し高かった。
計時器の部品は、あしたの便で来る。
ところで。
オレは、なぜ、灯りの場所を言ったんだ?