書かなかった集合時刻
誰も、集合時刻を決めていませんでした。
それなのに、五人そろっていました。
土曜の午後、寄宿舎の裏口です。
午前に屋内で16本泳いで、
部屋で来週の準備をしていたら、
裏のほうから、葵の声が聞こえました。
行ってみると、箱のまわりに四人がいました。
箱の中には、猫が一匹、眠っていました。
葵がルナにもらった空き箱です。
葵は「貸してあげる」と言っていました。猫に、です。
千鶴は箱の前にしゃがんで、
猫に向かって、あの口上を述べていました。
凜は腕を組んで、ルナは少し離れて立っていました。
私は、四人のうしろに立ちました。
そこで数えて、気がついたんです。
五人います。
先週の秋の集いも、そうでした。
誰も「始めます」と言わなかったのに、始まっていました。
集合時刻を書かなかった集まりは、これで二度目です。
週割りに書いていないことが、
週割りに書いたことより、きちんと起きています。
……っ、それは、表を作る者として、
どう受け取ればいいのか。
部屋に戻って、表を出しました。
葵の「仮装」の欄に、こう書きました。
「箱(猫が使用中)」
事実ですので。
あしたは日曜です。
来週の週割りを作ります。