一人一つ(四人に)
四十分。
けさの船が、向かい風で遅れた分です。
おかげで郵便と荷物の仕分けが昼休みまでずれこんで、
寄宿舎の郵便棚に、五人宛ての物がいっぺんに並びました。
葵には箱。千鶴には封筒と袋。
私の棚には、何もありません。
当然です。何も頼んでいないので。
プールは船の日で軽めにして、屋内の25mを16本。
夕方、職員の方がラウンジに掲示を出しました。
三十一日の十九時からラウンジで、かぼちゃのおやつが出るそうです。
夕食の献立は、鰤の照り焼きと里芋の煮っころがし。
何時から回るか。
葵はおやつのすぐあと、と言い、千鶴は何か言いかけてやめました。
消灯は二十二時。五部屋を回って、片づけまで。
二十時から、と私が言って、決まりました。
それから、念のため、表の見出しを確かめました。
「一部屋一つ」。
読み上げたところで、凜の箸が止まりました。
凜は、四人なんだから四つに、と言いかけて、口をつぐみました。
訪ねてくるのは四人。
戸口で渡すのは、一人に一つずつ。
凜の頭の中では、最初からそういう数え方だったようです。
もう一つ、分かったことがあります。
凜は、もう用意しているらしい、ということ。
本人は「言ってない」と言っていましたが。
ルナが言いました。
「ゼロは四倍してもゼロだ」
確かに、計算は合っています。
四人に一つずつ、で決まりました。
最後の船は、もう出たあとです。
夜、表の見出しに定規で一本線を引いて、
横に「一人一つ(四人に)」と書きました。
私の行の「未定」は、そのままです。
ただ、一つだった「未定」が、四つになりました。
引き出しから白い紙を四枚出して、机に並べました。
線は、あした引きます。