ちょうちょ
風呂敷。紺に、白い波の柄。
夜、部屋の鏡の前で、首に結んでみた。
四すみのうち、二つをつまんで、
あごの下で、ちょうちょ結び。
結べた。
……あれ。
この結び目、見たことある。
弟が小さかったころ、
「マントやって!」って走ってきて、
葵がしゃがんで、あごの下できゅっと結んであげてた。
あのときと、おんなじ形。
お母さんの袋の結び方は、きのう、三回やってもできなかったのに。
こっちは、一回でできた。
手が覚えてたのかな。
鏡の中の葵、マントの裾が膝のうしろまである。
くるって回ったら、ふわってなった。えへへ。
いつも結ぶ係だったから、
葵の背中でふくらむの、はじめて見た。
三十一日、これで回ろうかな。
午後は走幅跳を10本。
曇りで、踏切板がちょっとしめってた。
でも、10本目がいちばん遠くまで行った気がする。測ってないけど。
夜ごはんは、鮭をホイルで包んで焼いたやつ。
包みを開けたら湯気がぶわって出て、前が見えなくなった。
弟、いまは、自分で結べるのかな。
結べなくても、もう、マントなんて——