三分から五分
「いっしょだね」
朝、事務室の郵便箱の前で、葵ちゃんにそう言われました。
わたしは、妹たちへの二通目を持っていて、
葵ちゃんは、お母さんへの手紙を持っていました。
同じ時間に、同じ箱の前。
うなずくことしか、できませんでした。
葵ちゃんの封筒は、少しふくらんでいました。
わたしのは、薄いままです。
止まった一行は、そのままにして封をしました。
二通、続けて、箱の中に落ちる音がしました。
返事は、早くても来週の水曜より後です。
来るかどうかも、分かりません。
午後は、船の日なので、軽い素振りだけ。
夕方、ラウンジの掲示板に、新しい紙が出ていました。
「十一月十四日(土)十五時 ラウンジ 個人発表会
持ち時間は一人三〜五分 競技以外でもよい」
三分から、五分。
声には出さずに、数えてみました。
一、二、三……
六十まで数えて、それを三回。
三分は、思っていたより長かったです。
人の前に立って、三分。
わたしに、何ができるでしょう?