高いところ
ヘルメットのシールド。
晴れた日は、内側に空が映る。
14周。
走り終わって、ヘルメットを抱えたまま、
いちばん高いコーナーの縁に立った。
ここからは、南の浜が見える。
浜へ下りていく道に、人が二人いた。
小さかった。
片方は、金色の頭。もう片方は、紺色。
七瀬と、澪川だ。
七瀬が、先を歩いていた。
ときどき止まって、振り返って、澪川を待っていた。
二人が浜に下りて、見えなくなるまで、そこにいた。
なぜそこにいたのかは、分からない。
風が、少し冷たかった。
部屋に戻った。
机の上には、七瀬の小袋が二つと、澪川の白い紙。
白い紙は、まだ白い。
返すか、返さないか。
まだ、決めていない。
椅子の背の、畳んだままの手ぬぐい。