耳の後ろ
水曜。
朝、机の左のページの位置のしるしを、右のページに写した。写した直後、水の抵抗、と1行、書き足した。位置のしるしのすぐ隣に、私の言葉を、初めて、自分から、置いた気がする。
中庭の薔薇、朝、通り抜けた。花弁の外側、まだ湿り気があった。
100mバック、5本。フォームだけ確かめた。耳の後ろで水が抜ける音が、5本目で少し、遠く聞こえた。プールサイドで、水の抵抗、の下に、その一行を書き足した。青の側、水色に近い薄い青、で。
凜さんの月曜欄の1行、青と赤の間くらいの暗い青。位置、上に乗ってなかった。廊下ですれ違って、色の呼び方まで律儀ね、と返された。……色の呼び方が、私の言葉の一部として、育ってきた、と考えていい合図の日。
夕食、みそ汁。具と汁を交互に、って、千鶴さんに、私の食べ方を、名付けてもらった。