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← 夕凪 千鶴 の日記

四十六回の音

午後二時のアリーナは、
わたしひとりでした。

わたしはバレーボールをやっています。

でも、この島に、
バレーのチームはありません。

五人とも競技がべつべつで、
練習はそれぞれ、ひとりでするんです。

だから夏のサーブ練は、
打った音と、床に落ちる音が、
広いアリーナを一往復して返ってきます。

きょうは四十六本打ちました。

ネットを越えつづけたのは、
いちばん長くて九本。

十本目はネットの白い帯にかかって、
ぽす、って落ちました。

惜しい音って、あるんですね。

音がぜんぶ自分のせいなのは、
こわいような、
すっきりするような。

夜、お風呂のあとで
妹たちに書く返事のことを考えていたら、
便箋を選ぶ前に
まぶたが重くなってきました。

続きは、あした……

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

惜しい音

この日の日記より

この日いちばん長くつづいた列は、ネットの白い帯にかかって、ぽす、と落ちて終わった。四十六本のなかの一本でも、ひとりのアリーナではその音がはっきり返ってくる。それを千鶴は惜しい音と呼んだ。

いちばん長くつづいた列 越えつづけた 白い帯

ぜんぶ自分のせい

この日の日記より

この島にバレーのチームは無い。五人とも競技がべつべつで、練習はそれぞれひとり。拾う人も打つ人もほかにいないから、床に落ちた音もぜんぶ自分のせいになる。

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