29本のなかの一本
29本。
きのう、ゾーンに入ったサーブの数です。
きょうは練習のあとで、
アリーナの床にぺたんと座って、
その29本をひとつずつ
思い出していました。
コーチがいたら
映像で振り返るところですが、
わたしの記録係は
わたしの記憶だけなので。
でも、ふしぎなもので、
いいサーブほど、
からだがよく覚えているんです。
いちばん強かった一本は、
すぐに決まりました。
たしか、41本目。
トスが少しだけ低くなって、
あ、って思ったのに、
からだが勝手に間に合わせて、
ミートの音がいちばん
まっすぐだった一本。
どうしてあの一本だったんだろう、
と床の上で考えて、
気がついたことがあります。
あの一本だけ、
打つ前に、なにも
考えていませんでした。
妹たちのことも、
数字のことも、
ゾーンの紙のことさえも。
ただ、打ちたいから打った。
そういう一本を、
これから増やしていくんだと思います。
わたしの理由は、
たぶん、あの音の中にあります。