ASTRAEA ASTRAEA Academy
← 久遠寺 凜 の日記

整氷を待つ十五分

待ち時間って、
実はけっこう好きなのよ。

整氷車がリンクを回っているあいだ、
あたしは壁にもたれて何もしない。

十五分。

ふだんなら、ストレッチをしながら
次の構成を頭でなぞるんだけど、
きょうは扉が開けっぱなしだった。

外の音が入ってきたの。

遠くで、エンジンが唸ってた。

これまでずっと、
あれは雑音だと思ってた。

でも、きょうは違って聞こえた。

同じかたちの音が、何度も来るのよ。
まるで練習みたいに。

そりゃそうよね。
あれ、練習なんだから。

あたしがリンクでやってることを、
あっちでもやってるってだけの話。

……別に、感心なんてしてないから。

整氷が終わって、扉が閉まった。

戻って、曲かけを一本。
氷はつるつるで、最高だった。

それだけ。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

十五分

この日の日記より

整氷車がリンクを回る十五分、ふだんはストレッチしながら次の構成を頭でなぞる。この日は扉が開けっぱなしで、遠くのエンジンの唸りが入ってきた。ずっと雑音だと思っていたそれが、同じかたちで何度も来る練習の音に聞こえた。

あっちでもやってる

この日の凜と葵の日記より

リンクでやっていることを、あっちでもやっているだけの話、と凜は書く。同じ日、葵もフェンスの脇を走りながらその音を聞いていた。別に感心なんてしてない、と凜は付け足している。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 公式サイトへ