数えなかった日
雲がひとつもない空の下で、
アリーナの窓だけが白く光っていました。
中は涼しいままです。
打ち込みを40本。
サーブを54本。
連続で入った数は、
きょうは数えませんでした。
いつもは、数えます。
11本とか、8本とか、
そういう数字を持って帰ります。
きょうは、やめました。
理由は書かないでおこうと思って、
やっぱり少しだけ書きます。
木曜に、掲示の前で
考えていたことがあります。
だれのために打つのか、という話です。
数えるのは、
だれかに見せるためでした。
見せる相手がいない一本を、
数えられるだろうか。
……と思って、数えずに打ってみたら、
ふつうに打てました。
拍子抜けするくらい、ふつうに。
数えなくても、
腕は同じところに振り下りました。
わたしの体は、
たぶん最初から知っていたんです。
きょうの答えではありません。
きょうの、途中の一歩です。
きのうの夜おそくに、
乾いた一組を返しに行きました。
戸を叩くのはやめて、
前にたたんで置いてきました。
もう一組は、まだ干してあります。
夜はスパゲッティでした。
麺をゆでる大鍋の音が
食堂の外まで聞こえていて、
それだけで元気になります。
レタスのスープに
たまごがふわっと散っていて、
きょういちばん好きだったのは、
たぶんあれです。