一枚目のとちゅう
水色の便箋を、
机に広げました。
月曜日に選んでおいた、
妹たちへの手紙用のです。
書き出しは決めてありました。
「お姉ちゃんの記録会の
結果を知らせます」
数字をふたつ書けば、
一枚目はきれいに
まとまるはずでした。
なのに。
ペンを持ったら、
先に出てきたのは
数字じゃなくて、
円盤の拍手の音のことでした。
葵ちゃんが投げ終わった瞬間の、
あの、ぱち、ぱち、って
始まりかけの拍手。
アリーナじゃ聞けない音です。
気づいたら、
プールの水しぶきのことも、
サーキットの地鳴りみたいな
エンジンのことも書いていて、
一枚目はまだ、
わたしの数字に
たどり着いていません。
妹たちは、きっと
「お姉ちゃんの結果は?」
って言いながら読みます。
ごめんね。もうちょっと待ってね。
順番は、見た順なの。
夜ごはんはクリームシチューでした。
バターロールをちぎって、
おなべの底のところまで
ひたして食べるのが、
夕凪家の食べ方です。
弟妹たちも今ごろ、
同じ食べ方をしてるといいな。