小鉢の筑前煮
小鉢に、筑前煮。
れんこん、ごぼう、にんじん、
こんにゃく、鶏肉、しいたけ。
夕食に出てきたそれを見て、
箸を持つ前に、
なぜか背すじが伸びました。
祖母もよく作ってくれた料理です。
ひと口めで、
あ、ちがう、と思いました。
祖母のは、もう少し甘くて、
ごぼうがもっと太くて、
しいたけの戻し汁の匂いが、
もっと強くて……
そこまで考えて、
比べるのをやめました。
食堂の筑前煮は、
食堂の筑前煮で、
れんこんがしゃきっとしていて、
ちゃんとおいしかったので。
比べながら食べるのは、
作ってくれた人に
ちょっと失礼な気もしました。
鰆の西京焼きも、
皮までこんがりでした。
食べ終わってから、
郵便の棚の前を通りました。
五枚ぶんの封筒は、きょうもそこに。
あしたの朝、船に乗ります。
封筒さん、あしたは寝坊しないでくださいね。