二文字
封筒に「いってらっしゃい」って言うのは、
へんなことでしょうか。
けさ、言ってしまいました。
小さい声で、郵便の棚の前で。
七時すぎに船が着いて、
郵便の人が棚の封筒をまとめて、
袋に入れていきました。
五枚ぶんの、ぷっくりした封筒も、
その中に。
真琴ちゃんが、
べつの封筒を持って
同じ棚のところに来ていました。
おたがい、会釈だけ。
それで、じゅうぶんな朝でした。
夜は、前期の振り返り会でした。
その前の夕食で、
葵ちゃんが、張り替えられたばかりの
後期の予定表を読みあげてくれて。
十一月に、発表会があるそうです。
ひとり三分から五分。
競技のことでなくてもいい。
例として、
いくつか言葉が並んでいて、
そのいちばん最初が「料理」でした。
葵ちゃんがその二文字を読んだとき、
四人ぶんの顔が、
いっせいに、わたしのほうを向きました。
わたしは、天ぷらの海老を
箸でつまんだまま、固まりました。
「ふぇ……」
としか、言えませんでした。
海老は、落とさなかったです。
それだけは、えらかったと思います。
出るのか、出ないのか。
何を作るのか。
そういうことは、まだ何ひとつ――
きょうは、ここまでにします。