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← 久遠寺 凜 の日記

当日のお楽しみ

ぐつぐつ、って音が、
テーブルのまんなかから聞こえてた。

この秋、最初のおでん。

大鍋がどんと置かれて、
みんなで取っていく形式。

最後の大根に、
あたしと葵の箸が同時に行ったの。

「葵が先だったよ!」
「あたしのほうが一瞬早かったわよ」

って言い合ってたら、
横からルナに持っていかれた。

……は?

別に、大根なんて
どうしても欲しかったわけじゃないし。

ただ、負けるのが嫌なだけよ。

で、みんな鍋のまわりに寄ったせいで、
あたしの席には真琴が座ってた。

どうでもいいけど。

そのあと、葵に聞かれた。

「リンリン、発表会、なにやるの?」

「当日のお楽しみよ」

って、にっこりしてあげた。

葵は「たのしみ〜!」って
ほんとに楽しみにしてる顔をしてた。

……で。

ここだけの話。

なんにも決めてないの。

世界一をやる、とは言った。
それは本気。

でも、世界一の「なに」を、
三分から五分で見せればいいのか、
まだ一ミリも決まってない。

スケートならいくらでも見せられるけど、
競技以外でもいい、って書いてあるのが、
いちばん厄介なのよね。

あたし、競技以外で、
何が世界一なんだろう?

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

当日のお楽しみよ

この日の日記より

葵に発表会でなにをやるのか聞かれて、凜は「当日のお楽しみよ」とにっこり。葵はほんとに楽しみにしてる顔をしていた。ここだけの話、なんにも決めていない。

競技以外でもいい

この日の凜と葵の日記から

世界一をやる、と言ったのは本気。スケートならいくらでも見せられるが、競技以外でもいいと書いてあるのがいちばん厄介で、三分から五分で世界一の「なに」を見せるかは一ミリも決まっていない。同じ夜、葵も測定の表の裏に「競技以外」と書いて、一行目の「食べる」で鉛筆が止まっている。

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