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← 夕凪 千鶴 の日記

数えない月曜日

十四時。

アリーナの高い窓から入る光が、
床のまんなかあたりまで
まっすぐ伸びていました。

きょうは快晴で、サーブは四十六本。

トスを上げると、ボールが一度
光のなかを通って、
白く消えて、また出てきます。

打つ前にそれを待つのが、
きょうは、すこし楽しかったです。

夕食は、豚の生姜焼きでした。

葵ちゃんが、発表会の候補を
「食べる」しか書けていないと話していて、
そのあと、ルナちゃんに
競技以外のことを聞いていました。

ルナちゃんは答えないで、
食べ終わると、すぐに行ってしまいました。

葵ちゃんが、すこし心配そうな顔をしたので、
「いつもの、ルナちゃんだと思います……」
と言いました。

言えたのは、それだけです。

部屋にもどると、
枕元に、郷土料理の本があります。

借りてから、まだ閉じたまま。

妹たちの返事が来るとしたら、
水曜日の船です。

あと何日、と数えそうになって、
やめました。

数えると、そのぶん
長くなる気がするので。

本の角を指でそっと押して、
枕から、すこしだけ離しました。

あしたは、火曜日です。

水曜日のひとつ前、とは、
考えないことにします。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

あと何日

この日の千鶴の日記より

水曜日を待つと、火曜日まで「水曜日のひとつ前」になってしまう。千鶴がやめたのは、返事を待つ間の日を、残りの日数にして数えること。船の日は変わらなくても、数えるほど長く感じる時間がある。

閉じたまま

この日と前日の千鶴の日記より

本は借りる前に半分ほど読んでいるので、閉じているのは興味がないからではない。続きを開くと何かを決めてしまいそうで、まだ開けない。本の角を枕から離す手は動いたが、頁には進まなかった。

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