違うったら違う
リンクの壁に、丸い時計がかかってる。
放課後、ショートを通しで一回滑った。
曲が終わって、最後のポーズで止まって、
顔を上げたら、その時計が目に入った。
ショートの通しは、一本だけ。
あとは三回転ループを5本跳んで、5本とも降りた。
5本中5本。
……で、また、数えてた。
踏み切る前に、いち、に、って。
月曜に気づいたのに。
火曜は、やめるつもりだったのに。
でも、言っとくけど、
あたしのは、ルナのとは違うから。
あいつは、人のことを勝手に数えてた。
真琴の二秒とか、葵のごはんとか、
千鶴の「ひゃ」とか、
……あたしの、アレとか。
あたしが数えてるのは、
自分の跳んだ本数だけ。
自分で跳んで、自分で数えて、自分で降りる。
ぜんぜん、違うでしょ。
違うったら、違うの。
夕食のとき、ルナの前には、
もうタイマーがなかった。
あたしが「世界一」って言っても、
カリ、って音はしなかった。
……べつに、物足りなくなんかないけど。
5本中5本を数えたのは、あたし。