二回と、三回目
二回。
葵ちゃんに見学を頼まれて、
断ろうとした回数です。
二回とも、「あ、あの」のところで止まって、
三回目には、もう「は、はい」と言っていました。
土曜の朝は、授業がありません。
そのぶん、部屋で、
便箋に向かうつもりでした。
分量の欄は、まだ白いままです。
あしたの朝なら、
静かに考えられると思っていたのに。
葵ちゃんは「ちーちゃんの競技以外、見たいの!」と、
とてもうれしそうでした。
練習の帰り、寄宿舎の前で、
銀杏のにおいがしました。
この秋はじめての実が、
中庭に落ちたんだそうです。
おばあちゃんは、秋になると、
銀杏を拾ってきて、
洗って、干して、炒ってくれました。
においは苦手だったのに、
炒ったのは、好きでした。
夕食は、肉じゃがでした。
じゃがいもの角が、
おつゆですこしだけ崩れていて、
ほくほくでした。
部屋にもどって、
机の上の便箋を見ました。
あした、葵ちゃんが来たら、
この便箋は、どこに置いておけばいいんでしょう?