一行だけの表
食堂の窓の外で、職員の方が、
中庭の銀杏の葉を掃いていました。
夕方の光が低くて、
掃き集めた葉の山が、黄色く光っていました。
きょうの本数は、18。
屋内の50mです。
夕食はハンバーグでした。
席に着くなり、葵が言いました。
「今日、二回鳴った」
授業中のことです。
二回とも、私はとなりで聞いていました。
きょうは、ペンを止めませんでした。
みんなが、それぞれ対策を言いました。
私が言ったのは、
「食べる時刻を決めればいいんです」。
言ってから、
肝心の時刻を言っていないことに気づきました。
それで、部屋に戻ってから、
頼まれてもいないのに、表を作りはじめました。
葵の時間割を、思い出せるだけ書き出して、
図書塔がいちばん静かになる時間の、少し前を探して。
10:20。バナナ1本。
今夜書けたのは、その一行です。
頼まれていない表なのに、
ペンは、自分の週割りを書くときより、速く動きました。
これは、委員長の仕事でしょうか。
……っ、たぶん、そうです。
机の上に、一行だけの補食表。