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← 七瀬 葵 の日記

鳴らなかった木曜

図書塔の窓から、まっすぐな光が、机の上まで届いてた。
きのうの雨がうそみたいな、晴れ。

十時二十分。

まこるんの表のとおり、
授業の合間に、廊下でバナナを一本食べた。

それから先の授業は、ずっと、
自分のお腹に耳をすませてた。

……鳴らない。

お昼まで、いっかいも鳴らなかった!

となりのまこるんにピースしたら、
まこるんは小さくうなずいて、
またノートにペンを走らせた。

ペン、止まらなかったな。

午後は、棒高跳びの短い助走で、10本。

ポールがしなって、
ぐんって体を持ち上げてくれるとこ、
きょうも気持ちよかった。

跳んでるあいだに、ちょっとだけ考えた。

きのうの夜は、葵のお腹が鳴って、
みんなが笑った。

きょうの図書塔は、鳴らなくて、
だれも笑わなかった。

うれしい。ほんとに、うれしい。

なのに、ほんのちょっとだけ、
なにかが足りない気がする。

なんでだろ。

夜ごはんは、鶏の唐揚げ!

かりっとして、じゅわってして、うまっ!
豚汁も、おかわりした。

お腹のなかが、ぽかぽかで、
いまは、とっても静か。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

十時二十分

この日の葵と真琴の日記から

前日まこるんにもらった表のとおり、授業の合間に廊下でバナナを一本。お昼まで一回も鳴らなくて、となりのまこるんにピースしたら、小さくうなずいてまたペンを走らせた。表が効いたのか、たまたまなのかは一日だけでは分からない、とまこるんのほうは書いている。

なにかが足りない

この日と前日の葵の日記から

前日の夜は葵のお腹が鳴ってみんなが笑い、この日の図書塔は鳴らなくて、だれも笑わなかった。うれしいのはほんとで、なのにほんのちょっとだけ、なにかが足りない気がする。なんでなのかは、葵にもまだ分からない。

同じ夜、真琴も週割りの土曜の欄に足りないものがある気がして、見つけられなかった。

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